事故・送検報道「塩、飲料水を備えず送検 熱中症で労働者が死亡」

事故・送検報道

2021年4月
そろそろ熱中症の季節です。
急に暑くなる5月ごろから気を付けたいところです。
今回は熱中症にまつわる事故送検事例です。

労働基準監督署は、熱中症防止対策を怠っていたとして、警備業の と同社代表取締役を労働安全衛生法第22条(事業者の講ずべき措置等)違反の容疑で神戸地検に書類送検した。令和2年8月21日、交通安全誘導警備を行っていた労働者が、熱中症を原因として死亡する労働災害が発生している
労災は、工事現場で発生した。災害発生当日は、気温が30度を超えていた。
法律では、多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるための塩と飲料水を備えなければならいと規定しているが、同社はこれを怠った疑い。
知っていました?熱中症で法令違反

引用元:労働新聞

知っていましたか?熱中症にまつわる法令で、塩、水を備えないと違反になるんです。
法令は以下のとおりです。

(発汗作業に関する措置)第六百十七条
事業者は、多量の発汗を伴う作業場においては、労働者に与えるために、塩及び飲料水を備えなければならない。

引用元:eーGOV法令検索

なんとなく会社で水や塩を用意している・用意していない・と言うのが多いのではないでしょうか?

熱中症って何?

外気温が高いと体内の温度が上昇します。人間の体のタンパク質は熱で変性します、40数度くらい。ここまで上昇させないよう体を冷やすため、汗(水分と塩分)を出し、気化することで気化熱として体表の熱をとり、体を冷やしています。

しかし、汗による気化熱冷却より体温上昇が上回ると、熱痙攣・熱失神・熱疲弊といった熱中症になります。

どうすれば良いか?

汗をかけるよう水分・塩分を取る。
水だけでは×です。汗をかくには塩分が必要なので、約0.1%塩分の飲料水(水1リットルで塩0.5gくらい、、塩飴とかいろいろありますよね)を摂取します。

特に時間を決めて強制飲水が必要な場面があります。強制飲水として決めておかないと取れないような作業は結構あります。

日陰を作る(輻射熱の遮断)、送風機を設ける(対流による放熱)。特に空調服は効果が高いです。

空調服は空気を体内に取り入れ、気化熱を効率よく奪うため、バッテリーの替えを用意できれば作業への集中力持続力維持としても効果が高いです。あと、首元の頸動脈に太陽の日差し輻射熱が当たらないようネックガードも屋外では結構重要です。

順化がポイント

いかに汗をかけるがポイントなんですが、汗をかくなどの体の体温調整機能は慣れるまで時間がかかります。急に暑くなると慣れる前なので、うまく汗をかけず体温調整が間に合わなくて熱中症になります。

慣れるまでの順化には、7日間かかると言われます。

そして、せっかく慣れた体も4日離れていると大きく損なってしまいます。
体が慣れていない5月ははじめに述べたとおり要注意ですよ。

実は熱中症そのものより、遠因した墜落などの事故が怖い

熱中症自体も怖いのですが、最近は昔に比べて暑いという認識が増えたり、熱中症そのものへの理解が増えたおかげで、軽度のうちに体を冷やせて助かったり、医療機関に早期にかかるという認識が増えたように思います。

しかし、暑い時期に怖いのは、熱中症に遠因して、フラついて墜落したり、車両の接近に気づかなかったりして事故にあうことです。

暑い場面では集中力が落ちていることを認識した方が良いと思います。

そういう意味でも、空調服は効果が高いのでお奨めです。

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